苦い文学, 難民

偶然の再会

15年ぐらい前の話だが、ドイツ在住のビルマ人の難民が日本にやってきた。日本で難民申請をしている彼の妻をドイツに呼び寄せるためだった。これはかなり大変だったのだが、結局うまく行った。私はその妻と知り合いで、二人のためにいろいろ手伝ったのだった。

その後、何年かして、私はアフリカのチュニジアで言語の調査をしたくなり、ドバイ経由で行くことにした。そして、乗り継ぎのドバイの空港で、時間潰しに免税店を冷やかしていると、なんとあの夫婦がいるではないか。

二人はタイの知人に会いに行くところだということで、私たちは思わぬ再会に驚きあった。

日本に帰って、あるカチン人の女性にこの出来事について話すと、彼女はこう言った。

「私たちカチン人の牧師がアメリカに行った時、船に乗ったのです。そしたら、その乗客の一人が、彼の父と友人だったというアメリカ人牧師だったのです」

私の偶然の出会いよりももっと強力で神がかったのを持ち出してきたので、思い出もすっかりくすんでしまった。