苦い文学

ヒトが木から降りたワケ

《人類が地上に降りた理由、新説発表》

初期人類がどうして木から降りて地上で暮らし始めたのか、霊長類文化リサーチセンターの吉田三郎博士が新説を発表した。およそ 900 万年前にアフリカ熱帯林で木の形態に生じた変化が、地上に降りたきっかけとなったことを、樹木の化石の分析によって裏付けた。研究内容は、今日にも学術誌『サイエンティフィック・ベンチマーク』に掲載される。

ヒトがいつ地上で二足歩行の生活を始めたのかは、これまでもさまざまに議論されてきた。吉田博士は、「そもそもなぜ樹から降りたのか」という疑問を解明するため、900 万年前の樹木の化石を比較検討し、樹木に生じた形態的変化が、ヒトを樹上生活から「排除」したことを明らかにした。

「これらの化石からわかるのは、当時の樹木が、わざとらしく突起に覆われていたり、取ってつけたような手すりや仕切りがあったり、意地悪く鋭く斜めになっていたり、つるつるだったりと、ヒトがのんびりと寝そべったり、ゆっくりと休めないような形状に進化していたことです」

このことから、ヒトはおよそ 900 万年前に樹上生活を諦めて、地上生活を始めざるをえなくなったと考えられるという。吉田博士は、この樹木の変化がヒトに与えた影響をより明確にするために、現在、東京都内の駅や公園のベンチの調査を始めている。(ザンゲー通信)