難民

古いほうの収容ウイルス、長崎入管訪問(その8)

 軍艦島クルーズのガイドの人がこんな話をしてくれた。

 「クルーズには、元島民の方もいらっしゃることもあります。そういう方は、自分からそうおっしゃらないのですが、なんとなくわかるのです。どうしてわかるのかというと、ここまで来ると(と、ガイドは私たちの目の前に広がる廃墟を示した。軍艦島に上陸した私たちはかつての居住区が見渡せる場所に来ていたのだ)、皆さん、写真をお撮りになるのですが、元島民の方は写真を撮らずに見ているだけなんですね。どうしてかというと、ここから見る風景は、元島民の方々には馴染みのないものなのです。それは思い出にはないものなのです。島民の方々は、今、私たちが行けないところで生活されていました。元島民の方々にとって、ふるさととは、そうした今行けないところである、ということも皆さんにぜひ理解していただきたいことです。この島は軍艦島と呼ばれていますが、元島民の方々にとっては、この島は軍艦島でも廃墟でもなく、端島というふるさとなのです」

 これは、こういうことであろう。あなたの友人が宇宙で遭難し、過酷な環境により変貌して帰ってくる。体は白く、皮膚はひび割れだらけ、何よりも奇怪なのは肩が盛り上がって、そこに頭がめり込んだようなその姿だ。人々は恐れ、怪獣だ、怪獣だと言って、水を浴びせかけて倒そうとする(水に弱いのだ)。だが、あなたは複雑な気持ちだ。なぜなら、これは「怪獣」などではないのだから。誰が何と言おうと、あなたのかけがえのない友人なのだから。軍艦島は元島民の方々にとってはちょうどそんな存在ということだろう。

 いや、この最後のたとえは、ちょっといらないかな……。