朝出かけようとすると、雨が降っている。それで、あなたは傘を差して外に出る。やがて雨が止み、しばらく経つのだが、その時あなたは不意に気がつくのだ。
傘が無くなっていることに。
もしかしたら、電車の中に置き忘れたのかもしれない。いや、立ち寄った店の入り口の傘立てだろうか、それとも、もしやトイレで? しかし、すでに電車は過ぎ去り、店から去ること遠く、トイレは汚れちまっている。
結局、あなたは新たに傘を買うこととなるのだ。再びそれを失うために。
あなたは考えたことがあるだろうか。これはすべて巧妙に仕掛けられたトリックだということに。
連中にとっては天気を操ることなどお手の物なのだ。そして、傘の柄に奇妙な形状を与えて、それを持つ者の意識を朦朧とさせることも。
連中はそのような詭計によって、私たちに常に傘を紛失させて、もっともっと傘を買わそうとしているのだ。それで利益を得るのは誰だろうか。もちろん、傘屋以外にあるだろうか。
この憎むべき傘屋たちは秘密結社を結成し、私たちの傘への欲求を極限まで増幅すべく、世界中で日夜暗躍を続けている。
だが、いったいなんのために? おお、それは問うまでもないことだ。
連中の目的は、人類を傘下に入れることなのだ……