苦い文学, 難民, 入国管理局, 東日本入国管理センター

働く車

私が車の免許を取ったのはそれほど昔のことではなく、それまでは車のことなどまったく興味がなかった。知っている車の名前といえば、昔CMで見たホンダ・シティと、カエルみたいなポルシェと、ルパンに出てくるフィアットぐらいだった。

そんな無知な時代、私はあるビルマ人と茨城の牛久入管に面会に行った。そのビルマ人はドイツで難民認定された人で、ある用事があって日本に短期滞在していた。

牛久の入管は牛久駅からずいぶん離れているので、タクシーか車でないと行けない。なので、入管の敷地には駐車場があり、職員や面会に来る人の車が停められている。

よく覚えていないが、面会の後、入管の外でタクシーを待っていた時だったかもしれない。彼が停車している車を見て私に英語で尋ねてきた。

「日本の車を見ていると、黄色いナンバープレートの車とそうでないものがあるが、この違いはなんなのか」

私は少し考えて答えた。

「黄色いのは仕事に使っている車だ」

今もなお目を閉じれば浮かんでくるのは、明らかに納得していない彼の顔だ……。