(d) のジェルバ島は、古代から名の知られた場所で、現在も夏になると観光客でいっぱいだ。私は昔、バスツアーで数時間立ち寄ったことがあるだけだ。また、2023 年の夏に、急にジェルバ行きを思い立って、チュニスの旅行代理店に駆け込んだら、ハイシーズンで航空券はなかった。どうせ、ホテルもレストランもお高いんでしょ、と諦めた。
そんなわけで、私にジェルバでの見聞はないに等しいが、一般には、チュニジアの中でも独自の文化をもつ土地として知られている。ベルベル人がいて、ベルベル語がまだ使われているということだけでなく、ユダヤ人のコミュニティも古くからある。また、あるチュニジア人作家は、ジェルバ人は見栄っ張りなので客間だけを豪華にする、などという話を愉快そうに語っている。
ヨーロッパでもよく知られた観光地なので、ジェルバのベルベル語はチュニジアの他の地域よりも関心を集めてきた。本格的な文法書はないが、論文はそれなりにある。最近でも、ジェルバのガッラーラのベルベル語で物語を記録した本が出版されている(しかも YouTube で音声も聞ける)。
私がこの本を手に入れたのは、チュニスのバルシャローナ広場前の本屋だ。チュニジアのアラビア語方言の本を探していると言ったら、「面白い本があるぞ」と、店主が勧めてくれたのだ。ベルベル語を調べ始める前のことだったが、こういうものは、その時に買わなければ、次に手に入るかどうかわからない。
(写真:ジェルバのベルベル語の物語集の表紙から。上から順にアラビア文字表記ベルベル語、アラビア語、ティフィナグ文字表記ベルベル語)