苦い文学

イヤーワーム・フェス

イヤーワーム(耳の虫)とは、特定のメロディの一部が勝手に頭の中でぐるぐる回って止まらなくなる状態のことだ。誰にでも経験のあることだが、私はこんな名称があることを知らなかった。

イヤーワームはたいてい放っておけば消えてしまうので気にするまでもない。とはいえ、心配な場合には対処法もある。その曲をあえて最後まで聴いたり、他のことに集中したり、別の歌を歌ったりするのがいいという。

ネットを見ていると、何日も虫が居着いたせいで眠れなくなってしまったという人もいたし、イヤーワーム・フェスが開催されたという人もいた。

その人の体験談によると、しつこいイヤーワームを消そうとして、別の歌を頭に流したところ、曲が消えるどころか、2曲同時に頭の中で鳴り響く事態となったという。しばらくこの状態に耐えていたが、やがて驚くべきことに、3曲目が流れ始めた。ステージが急遽増設されたのだ。最終的には、メインステージと5つのサブステージからなるフェスが開催されることになった。

フェスではステージ間を効率よく移動するのが肝要だ。また、トイレや物販の列に下手に並んでしまった結果、目当てのアーティストを見逃したり、いい場所を確保できなかったりすることもある。

この人は、フェスは初めてではなかったから、そうした経験をもとに、スケジュール表片手に綿密な計画を立て始めた。するとそれがその人の注意をうまく逸らしたのか、音楽が消え去り、フェスもたちまち中止のやむなきに至ったとか。