苦い文学

文学のリマスター

リマスターとは、現代の最新技術を用いて、昔の音源や映像の音質や画質を向上させることだ。音楽であれば、デジタル化、音圧調整、ノイズ除去などによって、音を補正すると、クリアで迫力のある音に生まれ変わる。

映像のリマスターも同じで、解像度を高くしたり、傷やノイズを無くしたり、色調を鮮やかに補正することだ。YouTube などには、古い作品とリマスター後の映像を並べ、その違いをはっきりと示してくれる動画もたくさんある。古い映画やアニメ・ドラマが、まるで最新の作品のようにキレイに見えるのだ。

このリマスターの手法を、文学にも応用できないか、と私はかねてから考えていた。そして、いろいろ試行錯誤した結果、ついに小説のリマスターに成功した。解像度を 8K にまで高め、独自に開発した AI を活用してノイズを消去し、色調も可能な限りオリジナルに近いものを目指した。リマスターしたのは、あの名作、夏目漱石の『それから』のラストシーン。ぜひ、クリアになったイメージと、美しい色彩を味わってほしい。

【修復前】
烟草屋の暖簾が赤かった。売出しの旗も赤かった。電柱が赤かった。赤ペンキの看板がそれから、それへと続いた。仕舞には世の中が真赤になった。

【8K AI リマスター後】
烟草屋の暖簾が赤かった。売出しの旗も赤かった。電柱が赤かった。赤ペンキの看板がそれから、それへと続いた。仕舞には世の中が真赤になった。