先生が私たちに物語を紡いで見せるとき、私たちはこれ以上なく元気と勇気が湧いてくる。自分たちが、まだ故郷と家族を愛せるということを知って、涙が止まらなくなる。それもそのはず、先生の物語は時間をかけて丁寧に紡がれたものなのだから。
そんなとき、ひとりのみすぼらしい男が私たちの輪の中に入り込んできた。そいつは、先生の話をしばらく聞くと、せせら笑ってこういった。
「史実もへったくれもないじゃないか。嘘ばっかりだ」
私たちは落ち着き払って言い返した。「むしろあなたのほうが嘘つきでは」
すると怪しい男は、先生の物語の間違いとやらをひとつひとつ指摘し始めた。聞くに耐えない言葉だった。
「先生の紡いだ物語にケチをつけるとは、私たちの敵だな」と私たちが迫ると、男は平然としていった。「私は、その先生とやらが紡いだひどい物語をみなさんの前でほどいているに過ぎない。そもそも、こんな物語を広めるほうが敵だ」
私たちはもはや我慢ができず、男を組み伏せ、ロープで縛り上げた。
「このロープを先生の紡いだ物語だと思え! ほどけるものならほどいてみろ!」
私たちは湖に行き、男を沈めた。