苦い文学

テンプレ化

YouTube 初期に活躍したネット思想家、アンドリュー・モールディング(1969-2016)は、2012 年 12 月に投稿した動画「The Templation of the Net Age」で、私たちの世界がテンプレ化しつつあることを初めて指摘した。

モールディングは、世界中で語られる言葉が、ネット世界の言語空間に吸収され、いずれテンプレ化していくだろうと予測し、この現象を Templation(template と temptation の合成語)と名付けたのであった。このテンプレ化について彼が動画で取り上げた以下の例は特に有名なものだ。今ではネット・リテラシーの教科書の定番ともなっている(もともとは英語だが、日本語版から引用)。

現在の私たちは亡き人に対する追悼として「心から冥福をお祈りいたします」などと語るのが普通である。だが、ネットが人間を支配し、テンプレ化が進んだ世界ではこの言葉は次のような形で流通するようになるだろう。

「心から冥福をお祈りいたします」

そして世界はモールディングが予言したようになった。今年 2026 年は、この不世出のネット思想家が世を去って 10 年という節目の年だ。テンプレ化について語った記念碑的動画は、色褪せるどころか、今なお視聴者を惹きつけているようだ。最新のコメントには、

「2026 anyone?」

とあった。