苦い文学

立ち仕事

ビルマ人の友人の病室は 8 階の大部屋の窓際にあった。すべてのベッドはカーテンで閉ざされていて、見舞いに来た私たちは、私たちの呼びかけにビルマ語で返事があるまで、彼がどこにいるかわからなかった。

彼は上半分を上げたベッドに両足を放り投げて横たわっていた。窓とベッドの間には車椅子が置かれていて、私はわずかな隙間に身を滑り込ませて、彼の傍に立ったが、他の 2 人のビルマ人はベッドの足元から内側に入ろうとしなかった。そのうちのひとりが気を使って私に車椅子に座るように勧めたが、私は断って立ったままでいた。

友人は、手術で膝の関節をシリコンにしたのだった。リハビリも大変だし、トイレも車椅子に乗せてもらわねばならないと、力ない声で言った。同行したビルマ人が「日本に来たビルマ人は、みんなこの膝の病気になりますよ」と言った。

居酒屋などで、何時間も立ちっぱなしで仕事をするからだそうだ。そういう彼も居酒屋でもう何十年も働いていた。

「へえ、それは大変ですね」

私がこう答えると、彼はハッとした顔をした。そして、私の膝の関節まですり減りだしたかのように、慌てて車椅子に座らせようとしたが、私は断った。