ザ・シスターズハイとネコニスズの「ツーマンライブ」が新代田 FEVER で開催された。これは、ザ・シスターズハイの渡邉九歳(Vo/Gt)とネコニスズの舘野忠臣が似ているということで、「ネタ」という曲の MV に舘野忠臣が出演したのがきっかけということらしい。ライブとしては「君の嫌いに、嫌われたい tour 2025」のファイナルということだ。
芸人が「対バン」なわけだが、これが本当にその通りだった。つまり、最初の 15 分ぐらいネタをやるだけ、というものではなく、前半の 50 分まるまるネコニスズの時間という「ストロング・スタイル」だ。私はネコニスズの単独も見たいと思っていたので、うってつけだ。
もっとも、ネタそのものは 2 本ほどで、あとは若者ばかりの会場で、おじさん「芸人が苦しむさま」を見せる、というおそらく単独でも見られないような時間で、これはこれで面白かった。明日の R-1 の一回戦に出るというヤマゲンの初おろしのネタや、その前の年の「赤ちゃん」の R-1 ネタの披露に及んだのも楽しい。
その後のザ・シスターズハイは、曲もしっかりしているし、演奏も派手なので、聴いていて飽きない。客は若い人ばかりで、演奏が始まるや、片手を上げてノリ出した。みんな楽しそうだ。年齢的に私は少し場違いな気もしたが、結局のところ、音楽は年齢を超えた。「ネタ」も良い曲だ。
プロの芸人の後ということで、MC で話すのも緊張するとのことだったが、渡邉九歳の話が印象に残ったので記しておく。開演前に舘野忠臣とタバコを吸っているときに M-1 の敗者復活戦のことを聞いたのだという。すると「食いぎみに『勝ちたい』と返事してきた。自分も『売れたい』と口に出していうから、大人になってもこういうふうにはっきりと言えるのはかっこいい」と。
こんな言葉からもわかるように、ザ・シスターズハイは陽性のバンドだ。それにしても、私には、はっきりと「したい」と言えることなどあるかな、とまるで若者のように考えた。