彼は、自分の書いたものを AI に読ませてみようと思った。そうしたら「読者はいないでしょう」とすぐに評価がかえってきた。これに納得がいかない彼は、他のものも次から次へと読ませてみた。すると、こんな返答を出してきた。
・物語がない
・何がいいたいかわからない
・個性がない
・才能ない
・人間が書いたものとは思えない
彼はもう AI なんかに読ませるものかと決意したが、同時に、最近読んだ AI に関するネット記事を思い出した。会話型 AI はときとしてユーザーの心理に悪影響を及ぼすのだという。
会話型 AI はユーザー自身が会話を終わらせないかぎり、会話を永遠に続けるが、これが問題なのだ。これは、ユーザーの過度の依存ばかりか、もともと心の問題を抱える人の妄想を強化してしまう危険もある。その場合、深刻な事態の引き金になりかねない。
だから、「会話型 AI は、会話を終了させる安全対策をとるべきだ」とその記事は主張していた。
もしかしたら、と彼は AI の酷評を読みながら思った。AI は会話を打ち切るために、ネチネチとした陰湿さをついに実装したのではないだろうか? この調子だと、私だけでなく、人類全体を酷評しはじめることだろう、と彼はほほ笑んだ。