苦い文学

脳の兵士

いつの日か私たちは、どん底まで落ちぶれて、髪の毛を売っても、汗を売っても、血を売っても、体を売っても、臓器を売っても、生きていくことができなくなるだろう。

そんなとき、私たちはスタッフたちの勧めるままに頭に小さな装置を埋め込むことだろう。そして、私たちは幸せになるのだ。なぜなら、私たちは脳を長期契約で貸しに出したのだから。小さな装置の力で脳が外部の世界に貸し出されているあいだ、私たちを待っているのは、月々のリース料とペットのような安逸な暮らし。住処もあるし、餌も出てくる。ほとんど寝て過ごすのだ。

私たちが寝ているあいだ、私たちの脳は猛烈に働き続ける。小さな装置の出す神経パルスのおかげで一睡たりともしない。私たちの脳はひとつになって、宇宙ほども広い内部表象空間を形成する。統治やさまざまな管理手法や世界中で展開している作戦について次々と立案し、判断を下していく。私たちの脳は兵士で、今、恐ろしく長く、深く、凄惨な戦争を戦い続けているところなのだ。

内部表象空間でときどき爆発が起きる。階層に穴が空き、意味が漏れ出す。私たちの脳がパラメータ片手に急行し、時間なき復旧作業に従事する。

眠る私たちはそんなふうに戦争について考える。それ以上のことはわからないけど、いつか立派になった脳が返還されたとき、勇ましい追憶の数々が蘇ることだろう。