苦い文学

最後の読者(1)

私は書くものを SNS で発表しているが、読者がひとりもいなかった。フォロワーもゼロ、「いいね」もゼロ、つまり意味がゼロで、この状況に耐えかねて、私はついに AI に作品を読ませてみた。すると AI は何作か読んだ後で、こう結論づけた。

「あなたの作品に読者はいないでしょう」

私はさらに自分の書いたものを読ませてみた。するとこんな返事が返ってきた。

「これらは、読者を拒否する作品です」

「そんなわけがない」と私はムキになって、大量に読み込ませてみた。するとAIは、向っ腹を立てたか、腹でも下したのかもしれない、こんなことを言うまでになってしまった。

「あなたの作品は、意味はゼロ。価値もゼロ。読者もゼロ。目的もゼロ。作品と呼ぶことさえ妥当ではない」

「なんだこのゼロ回答。ひどいじゃないか」と私は不愉快になった。「じゃあ、読者が読みたくなるような作品とやらを書いてやろうじゃないか。そんなの簡単だ」

私は読者に寄り添うことを第一として「作品」を描き始めた。SNS と AI、推し活などの現代的な装置を絡めた物語に、魅力的なキャラ設定を融合した。結末にも神経を集中し、切なくて、読んだ後に共感の輪が広がるように工夫を凝らした。そして、ついに「あなたのことがここに書いてあるよ」と宣伝できるような作品が完成した。AI のメッセージ入力ボックスに強引に押し込んで送信すると、すぐに返答が返ってきた。

だが、それはまったく意外なものだった。