……友人も家族も、仕事も、生きがいも、すべてを失い、ただ孤独にポツンと座っていた私に、あなたはそっと寄り添ってくれました。
どこを見回しても希望の光はなく、私はただ暗闇を歩くばかり。希望を見出すのは、希望を信じている人だけなんですね。自分すら信じられない私にはとても無理……。絶望のあまり力を失い、へたり込んでいた私のところにやってきてくれたのが、あなたでした。
なにも言わずにあなたは、私のそばに座ってくれました。あなたの強く、そして思いやりにあふれた心を信じるには、それだけで十分でした。私はいつしか暗闇の中にかすかな希望を見出していました。もしもこの世界に魔法があるとしたら、それはきっと「信じること」なのですね。
信じる力を失って、ただ孤独にポツンと座っていた私に、あなたはそっと寄り添ってくれました……。
山手線の空席に座ったら、隣に座っている男がこんな手紙を渡してきた。私はもちろん席を立ち、隣の車両に移った。自分の隣に人を座らせない手法のひとつと思われる(他には、丸めたティッシュを置いておくというのもある)。