私たちの市長が、部下とラブホテルで密会していただなんて非難されていますが、私は市長が言うとおり、男女の関係などなく、本当に大事な話をしていたと思っています。
というのも、私たちの町は田舎ですから、内密の話し合いをできる場所なんかないのです。隠れ家的なところがたくさんある東京とは違うんです。
政治はもちろんオープンであるべきですが、ときには人に聞かれたくない話もあるのは当然です。この町にも、市長のような偉い方がうちうちの話ができるような環境を整備すべきではないでしょうか。
そこで私が考えたのが、いわば動く会議室です。つまり、会議室つきのキャンピングカーです。これなら、ラブホテルなんて誤解を招く場所を使う必要もないですし、いつでもどこでも盗み聞きされることなくクローズドな打ち合わせを開くことができます。
ですが、この移動式会議室は会議室とはいうものの、車ですから狭いのです。窓があれば開放感があっていいのですが、外から丸見えでは秘密の会議もできませんね。
そこで、私は車の一面を思い切ってガラス張りにしたのです。ですが、普通のガラスじゃありません。外側からは鏡に、内部からは外側が見える特殊なガラスです。
こうすれば、閉塞感もないですし、また中からは市民や市の様子も見ることができますから、市長も市民のことを考えながら真剣に政治に取り組むことができます。
本当にすばらしい会議室カーができたと思っています。ですが、困ったことがあるのです。この車が止まるたびに、おかしな男があちこちから群がってくるのはどうしてでしょうか……