夜が孤独で耐え難くなってきたので、いろいろ考えたあげく、ガールズバーに行ってみることにした。酒を飲みながらカウンター越しに若い女の子と話せば、少しは元気になるかもしれない。
駅前のごちゃごちゃしたところに、そうした店が何軒かあるのは知っていた。足を踏み入れると「Girls’ Bar アリス&パネス」と記されたピンクの看板が目に入ってきた。これだと思ってドアを押し開ける。色とりどりのランプが輝く店内に、若い女性がたくさんいた。
私は思わず興奮して中に入ろうとする。と、前にひとりの女が立ち塞がった。「申し訳ありません。当店は男性の方はご遠慮いただいております……」
「え、ガールズバーじゃないの?」と私。
「そう誤解される方もいらっしゃるのですが」とその女は店名の記されたカードを私に見せた。「このアポストロフィをご覧ください。Girls’ Bar、つまり『女の子たちのバー』というわけでして……申し訳ありませんが、お引き取りください」
店を出された私は、なんとなく収まりがつかなくなった。少し離れたところに別の店があった。「The Girl’s Bar Right You」とある。アポストロフィの位置が気になったが入ってみることにした。
ドアを開けると、厳かな声が響き渡った。「元始、女性は太陽であった。そして今、女の子はバーである。Girl is Bar、Girl’s Bar……バーとなった女の子を崇めよ……」
ドアを閉め、帰宅して、寝た。