苦い文学

ビルマの不運な学生

ビルマ国内では長いあいだ戦争が続いていて、兵力を補充するためにビルマ国軍は、若いビルマ人を捕まえて軍に入れているという。紛争地帯である非ビルマ人地域では、カチン人やシャン人などの市民が、国軍に捕まって、ポーターとして酷使されるというのはずいぶん昔からあったが、最近では都市部でビルマ人を対象にこうしたことが行われているようだ。

そんなわけで、ビルマの若い男性は兵役から逃れるために国外に出ようとする。だが、出国すらできない場合もあると聞く。また、国外に行くチャンスをなんとか掴んだとしても、うまくいかない場合もある。

都内のある日本語学校に進学が決まったビルマ人の話だということだが、日本へのビザも出て、日本語学校が入管に書類を送って手続きを行っている最中に、ビルマ国内で捕まってしまった。

その罪状は、反政府組織に寄付をしたというものだ。反政府組織にも、民主化団体から反政府軍までいろいろあり、どれに寄付をしたのかわからないが、そのどれであれ、ビルマ国内ではときとして大きな危険を招く。

結局この学生は裁判で有罪となり、日本に来ることはできなくなってしまった。別の日本語学校で同じようなケースがあってもおかしくないと思う。

話によると、この不運な学生の「刑期」は 10 年だそうだ。1 週間早く日本に来ていれば、もしかしたら 10 年を無駄にせずに済んだかもしれない。とはいえ、現在の軍事政権が崩壊すれば、その「刑期」はもっともっともっと短くなろう。