苦い文学

新たな循環

循環的時間とは、農耕民族である日本人に特有の時間観です。農耕は季節の移ろいとともに始まり、そして終わります。春、夏、秋、冬、そして再び春が来て、季節が巡るのです。私たち日本人にとって時の流れとは、このような循環にほかなりませんでした。

しかし、近代になると、欧米の直線的時間が日本に入ってきました。循環的時間では、過去は巡り巡っていつか未来になります。ですが、直線的時間では、過去は永遠に過去のままなのです。このような時間の捉え方は、狩猟民族に特有のものだといえます。なぜなら、獲物を捉えるため、まっすぐ走る必要があるからです。

直線的時間が日本に導入されると、徐々に循環的時間が失われていきました。また、日本人の生活スタイルも変化したため、四季の移ろいそのものが身近なものではなくなりました。その結果、日本人は循環的時間を忘れてしまったのでした。

ですが、最近、日本人が新しい循環を生み出しているのが発見されました。それは、次のようなものです。

ある人をもてはやす>好感度上がる>急にバッシングが始まる>炎上する>焼け野原になる>再びある人を持ち上げる>急に叩き出す(以下、繰り返し)

この循環は季節ではありませんが、日本人の心の中ではまるで四季の移ろいのように循環しているのです。そんなふうに考えると、炎上もまるで夏の風物詩のように思えてきますね。