苦い文学

森鴎外記念館(前編)

説経節を読んでいて、森鴎外の「山椒大夫」を知った。読んでみたが、本家のほうが面白い。しかし、他の短編がよかったのでいろいろ読んでみることにした。

鴎外というと「石炭をば早や積み果てつ」をむかし学校でやったきりで、難しくて読めないだろうと思っていたが、それ以外はけっこう私にも読めた。ひどくつまらないものもあるが、女の人を書くときはイキイキしている。たぶんスケベだったのだろう。

いくつか読んでいるうちに、森鴎外がベルリンに留学していたことと、そこに記念館のあることも知った。6 月にベルリンに行ったときは、やはりスケベであったとされる楽聖デヴィッド・ボウイのベルリン三部作のことしか頭になかった。それで、『Low』『“Heroes”』『Lodger』の 3 枚のアルバムの曲の多くと、イギー・ポップのアルバムなどが録音された有名な音楽スタジオ、Hansa Tonstudio を訪問した。ベルリンの壁が近くにあったことがわかるので、“Heroes” がより感慨深く聞ける。

訪問したといっても、ハンザ・スタジオの中には入れない(有料のガイド・ツアーがあるようだ)。また、ボウイ饅頭やチャイナ・ガールの烏龍茶が売っているわけでもない。ただ、スタジオのガラス窓に大きな画面が設置されていて、デヴィッド・ボウイのいろいろな表情がかわるがわる映し出されているだけだ。

いっぽう、森鴎外記念館は中に入ることができる。しかも無料だという。そこで今回、9 月のドイツ滞在中に行ってみることにした。