苦い文学

ウナギの危機

日本人の愛してやまぬウナギが絶滅の恐れがあるとして、国際取引の規制対象となる可能性が出てきた。11 月に開催されるワシントン条約の締約国会議での協議次第では、輸入のウナギが食べられなくなるかもしれないというのだ。

たかが食べ物のことと侮ってはいけない。これはまさに国家の存亡に関わる重大事態なのだ。

というのも、輸入のウナギがなくなると、国産のウナギだけでは国内消費量はとうていカバーできなくなる。すると、ウナギはますます高価な食材となり、庶民にはもはや手が届かないものとなってしまう。これは、我が国民のスタミナ事情を直撃する深刻な事態であり、日本人は精をつけることができなくなる。その結果、少子化がうなぎ上りに進んでいくことが考えられる。

日本政府に提案したいのは、ニホンウナギは絶滅の恐れはないとして、規制対象から外すよう大規模なロビー活動を展開することだ。そのための経費もケチるべきではない。締結国の関係者が日本の味方になってくれるように、鰻丼ではなく鰻重をふるまうべきだ。肝吸いも忘れてはいけない。