私たち人類が生まれたのは、大昔、まだ太陽が若かったころのことです。ですが、その頃の世界は、誕生したばかりの人類にとって生きやすい場所ではありませんでした。
というのも、世界は、私たちに先行する先住人類たちのものであって、私たちの世界ではなかったからです。
先住人類には、私たちより頑強で、優れた身体能力を持つ種もいましたし、私たちより俊敏で速く走ることができる種もいました。だから、私たち人類の獲物も食糧もあっという間に奪い取られしまうのでした。
生まれたばかりの人類は非力で、数も少なかったので、先住人類に対抗することなどできませんでした。ただ怯えながら、ひっそりと隠れ暮らしていました。その頃、私たち人類がひたすら願っていたのはただひとつのことでした。
「いつか他の人類に打ち勝って、この世界を独り占めしよう。これが私たちの目標だ」
この目標は、実は人類最初の目標でした。それは幾世代にもわたって受け継がれました。やがて私たちの精神に深く刻み込まれ、人類の生きる意味そのものになりました。
そして、結局のところ、この目標は実現しました。最後に生き残ったのは、私たち人類でした。それ以来、私たちは生きる目的の喪失に苦しむようになりました。