することがないので昼寝していたら、おかしな夢を見た。
異国の男が豪華な衣服で立っているのだ。宝石が散りばめられた大きな金の冠をかぶっているので、すぐに王だとしれた。その王がため息をつきながら、悲しい顔つきで私のほうを見ているのだった。私は思わず尋ねた。
「お困りのようですが、どうされたのでしょうか」
「いや、余はそなたの国が羨ましくてたまらないのだ。余がもしそなたのような国にいたら、あのような恥辱を受けずとも済んだはずなのに。そう思うと、なんともやりきれない思いにとらわれるのだ……」
異国の王の口から漏れた思わぬ言葉に私は仰天した。「いったい、どのようなことが羨ましいというのでしょうか」
「なんでも、そなたの国では、偽の卒業証書をチラ見せするだけで、本物だと言い張ることができるそうではないか」
「ええ、なんでもタイパ重視の我が国では、大事な事柄もチラ見せでこと足りるのです」
「ああ! ああ! そのチラ見せの秘技さえ習得していれば! 我が身は悲劇を免れただろうに!」
王の激しい嘆きぶりを見て私はついやさしい気持ちになった。「王様よ、いったいどのようなことに苦しんでいらっしゃるのでしょうか。この私めにお話くだされば、多少は和らごうかと存じます」
「ああ! もう無駄じゃ! 無駄じゃ! 余は永遠に消し去ることのできぬ恥を晒してしまったのだ! ああ、あのときに、この王冠を一瞬だけ上げて耳をチラ見せしていれば、ロバの耳ではないと言い張ることができただろうに!」