苦い文学

灼熱の地

7 月末から 2 週間、チュニジアに行って、いつものように調査を行う予定だ。今回、私が期待しているのは、チュニジア南部で話されているマイノリティ言語の調査だ。「期待している」というのは、必ずしも思ったとおりにいかないこともあるからだ。

調査そのものをどこで行うかもまだ流動的だ。チュニスで腰を据えてするのもいいが、南部に行って実際の生活を学びながらというのもいい。

ただ、問題は暑さだ。「夏に南部に行く」と私がチュニスの人に言うと誰もが口を揃えて「やめろ」と止めるぐらいの暑さだ。私が行こうと思っている村では、45 度を超えるそうだ。

だからその村の人は昼は外に出ない。朝早く起きて朝の 9 時までに放牧を終わらせてしまう。それから家に帰って、夕方の 5 時まで寝るそうだ。村に 3 つしかない食料品店も朝 9 時に閉まってしまう。だから買い物もそれまでに済ましてしまうのだそうだ。

そんなところに行って、人々に迷惑をかけずに調査ができるものなのか、私はわからない。そもそも私の体力が持つだろうか。そう思って、今のチュニジア南部の最高気温を調べてみた。

東京のが高かった。

もちろんチュニジアのほうはこれから上がるのだろうが、にしても大丈夫な気がしてきた。