苦い文学

奴隷を守ろう

奴隷国家の政治家たちはみんな奴隷の所有者で、生活はなんでも奴隷頼みなんだ。だけど、最近どうも奴隷たちの元気がないよ。働いてくれないし、ぶうぶう文句ばっかり言っててさ。子どもだって産まなくなっちゃった。

「我が国の奴隷力は低下するいっぽうだ!」と政治家たちは大慌て。「こんなに奴隷たちにとって美しい国はないのにどうしてこんなことになったのだろうか?」

「きっと奴隷たちに反乱をそそのかす輩がいるのだ!」と与党の政治家が怒れば、野党の政治家はこうやり返したよ。「政府の背後に、奴隷を減らして我々を困らせようとする奴らがいるのだ!」

ちょうど選挙の季節になったんだ。選挙の争点はもちろん奴隷政策。みんな口々に叫んで回る。

「奴隷を元気に!」
「奴隷が子どもを産みやすい社会をつくります!」
「奴隷に手厚く2万円を支給します!」
「我が党は、奴隷の消費税を廃止します!」
「壊れゆく奴隷制度を守るため、奴隷ファーストの政治家を国会に送り込みましょう!」

奴隷たちには選挙権なんてなかったけれど、政治家たちの言葉を聞いてとてもうれしかったんだ。この国はなんて素晴らしいんだろう。どの政治家も自分たちのことを考えてくれる。自由なんていらないね。