タイからカレン人の牧師が来日した。7 月 13 日、都内のビルマのカレン人の教会で話をするというので、私は行くことにした。
教会は早稲田だ。私は以前このあたりに住んでいたので、いろいろ変わってしまっているのに驚いた。ここには早稲田大学という大学がある。それで、当時、私も何人かの学生と知り合いになった。
レストランで食い逃げした人、カニのように横にしか歩かない人、半ズボンかと思ったらトランクスで出歩いていた人、ひさしの上で犬を飼っている人、整髪料かと思ってシャンプーを髪の毛につけて外出したら雨が降って頭から泡が湧いてきた人……変な人ばかりだった。いわゆる F ラン大学なのだろう。
とはいえ、時代も変わったのか、今日は、あまり変な人は見かけなかった。私は、ああ、ここにあったレストランであの人が食い逃げしたのだなあ、とか、この裏にある「かまねこ街道」という細道の奥にトランクスの人が住んでいたなあ、とか懐かしく思い出しながら、早稲田通りを歩いていった。
早稲田通りといえば古本屋だが、姿を消したか、シャッターが閉まるかしていた。ただ、一軒だけ開いているのを見つけた。礼拝が始まるのは午後 1 時半からだ。時間を見ると、1 時を回っている。古本屋から教会までは 5 分ぐらいだから、少しは見る時間がある。いや、遅れたってかまわない。と、ワクワクしながら店内に入ったところで、カレンの友人から電話がかかってきて泣く泣く外に出た。