苦い文学

時間旅行

今回の旅は、カタール航空でドーハ経由でベルリンに行った。成田からドーハに向かう飛行機で私は携帯を充電しておきたくなった。

iPhone 15 なので、USB Type-C のケーブルで充電する。だが、座席のモニター周辺には昔の USB の差し込み口があるだけで、Type-C 用のはなかった。そんなわけで結局、充電することはできなかった。

だが、ドーハの空港に着いてみると、あちこちに充電する場所があった。Type-C 用のポートもあった。そして、ドーハからベルリンに向かう飛行機にも、モニターの下に Type-C 用接続口があった。

ベルリンでの滞在が終わり、私は再びドーハに向かった。飛行機の中で iPhone を充電しながら、ドーハの空港に着き、空港でも充電した。だが、日本行の飛行機の中では充電はできなかった。なぜなら、Type-C 用ポートがなかったからだ。

これはつまり、と、飛行機の中の私は考えた。時間を旅しているということではないだろうか。 Type-C が当たり前の世界と、昔の USB の長方形の差し込み口しかない過去の世界をドーハ経由で行き来しているのだから。

私はそれに気がつくと、スチュワーデスを呼んでコーヒーを持ってこさせ、タバコに火をつけた。