苦い文学

Semitic Dialectology Conference

ベルリン自由大学のセム語研究所(Insititute of Semitic Studies)が開催した学会(Semitic Dialectology Conference Cutting-Edge Research in Semitic Dialectology: Bridging Theory and Practice)に参加した。

これはセム語(アラビア語、ヘブライ語、現代南アラビア語、現代アラム語、エチオピア諸語など)の研究者が集まる集いで、6 月 11 日から 13 日までの 3 日間にわたり、全部で 29 の口頭発表が行われた。

研究発表というと、私には難しくてよくわからないことも多いが、「最先端の研究(Cutting-Edge Research)」というだけあって、具体的なデータにもとづく話ばかりで、どれも興味深く聞けた。

発表では、アラビア語諸方言、現代アラム語(新約聖書の時代のアラム語が現代まで残ったもの)、現代南アラビア語(アラビア半島のオマーンやイエメンで話される言語)などが取り上げられた。

このうち、現代アラム語諸方言と現代南アラビア語諸語は、話者が少なく、そのいくつかは消滅の危機にある危機言語だ。今、記録を残しておかないと、10 年後にはなくなっているかもしれない。

アラビア語方言やエチオピア諸語も、話者数が多いからといって安心はできない。実際にはさまざまな方言に分かれるし、それらの方言も変化する。また、時代の波や政情不安、そして戦争により大きな影響を受け、消え去りつつあるものもある。

こういう危機言語の問題はどの言語にもあるが、セム諸語においても、「方言」の危機があり、さらなる調査が必要な言語がたくさんある。このような認識が、今回の集会のメッセージのひとつであったと思う。

そのせいで、私もすっかり熱に当てられてしまい、用もないのにオマーンやシリア、エチオピアに行きたくなってしまった。