コメの価格が高騰し、政府が備蓄米の放出に踏み切ったニッポン。そんななか、新たな試みにチャレンジする人がいます。経済部記者が取材しました。
「少子高齢化による米作農家の減少と農林水産省の失政のせいで、もはや日本人全体に行き渡るだけの米の生産は不可能といっていいでしょう。それなのに、備蓄米は極めて評判が悪いのです」
こう分析する吉田さんは語ります。「そんなら、備蓄米の評価を変えるようなすごい備蓄米を開発してやろうではないか、と思ったのです」
米作りの経験はありませんでしたが、吉田さんは、備蓄米の開発に奮闘中です。
吉田さん「新米に負けず劣らずおいしい備蓄米を作るのに何が必要でしょうか? それは技術です。日本には優秀な技術があります。そして小さいけれど世界一の中小企業がたくさんあります。私は、日本の底力を使って、つまりオール・ジャパンで備蓄米を作り上げたいのです」
(備蓄米開発への協力を求めて、下町の工場を訪問する吉田さん。すぐに追い払われる)
(汗を拭いながら)吉田さん「いや、難しいですね……でも諦めません。備蓄米が日本を変えるって本気で思ってますから」
備蓄米にどうしてそこまで情熱を傾けるのでしょうか。記者が聞くと、吉田さん、意外なきっかけを話してくれました。
吉田さん「僕はね、工場で長年働いていたんですが、若い新入社員が入社したんです。そしたら、新米が入ったから、備蓄米はいらない、って、クビですよ。そのときからです、備蓄米と聞くともう黙っていられなくなったのは。ええ、備蓄米の意地を新米どもに見せてやりますよ!」
こう決意を語る吉田さんの備蓄米がニッポンの食卓にのぼる日もそう遠くないかもしれません。