日暮里サニーホールで「『徳川天一坊』を勉強する会」という集いが行われるというので行ってみることにした。
というか、抽選に応募して当たったので行った。神田伯山が出ること以外よくわからず、「勉強するとは?」とも思った。勉強が苦手な私は多少不安だったが、それで怒られることはないだろうとも踏んだ。
内容はというと、「徳川天一坊」という全20席の長編講談を数席ずつ神田伯山が語るというものだった。この講談は初代神田伯山が「読んだ」もので、神田派にとっては大事な作品ということだ。
今回は、「徳川天一坊」の第3話から第5話までで、約1時間半。講談に入る前の、前座の講談(神田若之丞)と神田伯山のマクラも合わせると2時間半を超える長い会だった。
話はというと、徳川吉宗のご落胤詐欺を企む物語で、幕末の作品にありがちな悪党ばかり出てくるものだ。これが実に面白かった。講釈の芸に引き込まれ、濃密な時間を過ごすことができた。素浄瑠璃もそうだったが、映画やテレビのようなわかりやすい視覚的な情報がなくても、人を夢中にさせることができるというのは、不思議なことだ。
というか、映像はおろか文字もない時代から、人間は物語を聞いてきたのだから、そういうふうにできているのだろう。
今回は第4回目ということで、次回もぜひ行きたいところだが、チケットが当たるかどうかはわからない。