アメリカで学会があるという知らせを耳にしたので、締め切り当日の1月8日、口頭発表に応募した。2月末に採択通知が来た。アメリカに行くのだ。
だが、状況は、私が応募した1月初めとは大きく変わっていた。トランプが大統領に就任したのだ。アメリカに入国する外国人が不当に拘留されたとか、追い返されたというニュースが出ていた。SNS やネットに反アメリカ的なことを書いていたせいで入国拒否された、などという人もいた。
私自身が入国時にトラブルになる可能性はないとは思うものの、誰であろうとそれがゼロとは言い切れないのが、現状のようだった。
また、こんなことを言う人もいた。「今のアメリカに旅行に行くことは、経済的にトランプ政権を支えることになるから、渡航を控えてほしい」 私が行っても、はした金の円をばら撒く程度なので影響はゼロだ。にしても、考慮すべき意見だと思った。
いろいろ考えた末、私は行くのをやめた。そのかわりオンラインで発表することにした。学会はそういう選択肢も用意してくれていたのだ。
さて、現地の時間に合わせると、発表は朝の6時だ。私は午前3時に起きて、発表を終えた。デキからいうと、惨憺たるものだった。私にとって、オンライン発表を英語でするのは初めての経験だった。会場の雰囲気がわからないので、途中でフワフワして、何を話しているのかわからなくなった。質疑応答でも、ありがたいことに質問してくれた人がいたが、オンラインのため、よく聞き取れず、的外れな答えをしたようだった。
もしも、現地で発表していたら、と思わずにはいられない。トランプ政権の弊害といえるだろう。