苦い文学

義太夫節演奏会(5月公演)

深川江戸資料館小劇場で義太夫節演奏会があるので行ってみることにした。

浄瑠璃は読んでばかりではわからないことも多いので、実際に聞いてみようというわけだが、義太夫節が聞いてわかるかというとそうではない。

子どものころ、はじめてエルビス・プレスリーのアルバムを聴いたとき、全部同じ曲に聞こえた。それと同じで、いろいろな義太夫節を聞いても、違いはよくわからない。もっとも、その後、私は立派に成長して「ハウンド・ドッグ」と「監獄ロック」が聞き分けられるようになった。だから、義太夫節も何年も聞いていればわかるようになるかもしれない。

今回の公演は、「鶴澤寛也を偲んで」と題され、2023 年に亡くなったこの三味線奏者ゆかりの義太夫節(妹背山婦女庭訓「花渡しの段」、関取千両幟「猪名川内の段」)と三味線曲(ひこばえ三味線組曲動物編)が演奏された。また、故人の思い出話の時間もあり、女流義太夫の世界を垣間見たようで面白かった。

肝心の音楽だが、義太夫節や三味線には、ロックとポップしか知らない私の耳でも楽しめるようなノリ、グルーヴ感があった。というか、そういう風にしかわからない。楽しみ方はいろいろだ。