ライブの会場は7階にあるから、観客はエレベーターで順次、上がっていくことになる。たくみに列の先頭に滑り込んだ私は、そのエレベーターに乗せられる第一陣としてエレベーターの脇で待機することになった。ネパール人のスタッフと会場のスタッフがしきりにやりとりしていた。
なんとなくネパール人スタッフと会場のスタッフとの間で、事前にうまく意思疎通できていないような印象を受けた。これは言葉の問題もあるかもしれないし、ネパール人のスタッフにボランティアが多いせいかもしれない。
ビルマ関係の音楽ライブに少し関わったことがある経験からいえば、こうしたライブは、日本在住の人々がこのためだけに集まって開催することが多く、ほとんどの人が興行の素人だ。もちろん、会場の設営や、音響・照明などは日本人のプロや、会場の専門家が担うが、それ以外、例えばチケットの販売や、宣伝、アーティストの移動や宿泊、観客の誘導などは、普通の人々がボランティアで行うことが多い。いわゆる「手作り」というわけだが、しばしば運営の面で行き届かないこともある。
そのせいだかどうだかわからないが、開場は4時だというのに、私たちはそのままずいぶん待たされた。
だが、4時半ごろ、動きがあった。エレベーターが開いて、スタッフが乗り込もうとしたのだ。いや、KUMA SAGAR だ。クマ・サガルとバンドメンバーたちがエレベーターに乗ろうとしているのだ。誰もが写真を撮り始めたので、私も携帯をかざした。
私たちはそれからさらに15分近く待たされて、ようやく7階の会場に到達することができた。だが、それはなんという会場であったことであろうか。