苦い文学

餃子のタレ

私たちはそのとき、中華居酒屋で飲んでいたのだった。どうしたわけか政治の話になった。一人がこんなことを言って怒りだした。

「野党というのはいつも反対ばかりだ。反対するなら対案を示せばいいのに」

私はその人のことはよく知らなかったが、この意見を聞いてその人のことが多少わかった。あまり物を考えない人だ。だが、私は黙っていた。すると、私の友人が「なるほど」と応じた。「確かにそうだ」

彼は愚かどころか賢い人だったので、私は彼の言葉に内心驚き、また不愉快に感じた。私としてはこうしたつまらない話に付き合いたくはなかったのだ。友人はテーブルの上の餃子を指して反野党の人に言った。

「ところで、この餃子、メニューには『何もつけないでお召し上がりください』って書いてある」

「それが?」と反野党の人。「俺はね、お酢と醤油とラー油で食べたいんだ」と餃子をひとつ箸でつまむと、小皿に自分で調合したタレをたっぷりつけて食べた。

「野党ってのは、そのタレのようなもんだ」と友人は笑った。「向こうがいらないっていったって、自分好みの味に変えるのは自由だろ」