数日後、正座器が届いた。「正座による足への負担を軽減する」という触れ込みの利器だ。レビューでは「凄く楽でした」「足が痺れません」と期待をもたせる。
さっそくそれをお尻の下に置いて正座してみた。すると、低い、低すぎる。私の足首は硬くて伸びず、平たくならない。それで、その分お尻が高くなり、正座器の座面から浮いてしまうのだ。これでは「足の負担」は軽減しない。もっとも、悪いのはこの製品ではなく、私の硬すぎる足首だ。なんにせよ、もっと高さのあるものを買わなくてはならない。
そこで、再び Amazon を検索した。正方形のクッションタイプのものが高さがありそうだったので、今度はそれを購入した。届く。すぐに試す。私の足首は、ガンとして伸びるのを拒否した。
無駄な買い物をしたと悔やんだが、せめてもの救いは、お昼寝の枕にも使えそうなこと……。だが、前日になって私はふと思いついて、このクッションを座布団の上に置いて正座してみた。すると、足首の痛みも多少和らぎ、短時間であるが正座の形を保つことができた。
これだ。
座布団はきっとある、と願いつつ、私はこのクッションを大きなカバンに入れて、義太夫体験教室に向かった。