苦い文学

孤舟先生

現在55歳の彼は就職活動中だが、ほとんどの求人で年齢制限に引っかかるので、応募すらできなかった。彼はしきりに考えた。50代の求職者を受け入れない社会がいけないのだろうか。それとも50代になるのに無職なのがいけないのだろうか……。

もっとも、犯人探しをしてなんになろう。彼は気を取り直して、近所の孤舟先生と呼ばれる紳士のところに相談に行った。

いつも、どうしたらよいかわからないときにこの有徳の先生に泣きつくのだった。

「どこもこんな老人を雇ってくれるところなどないのです。ああ、もう10年若かったら!」

すると、先生、莞爾(にっこ)と笑って、彼を突き飛ばした。縁側から庭に転がり落ちる。

「何をするんです」彼は叫んだ。「つらいから相談に来たのに、これでは踏んだり蹴ったりではないですか!」

「その、踏んだり蹴ったりこそ重要なのだ!」

孤舟先生はさらに彼をむんずと掴んで家の外に放り出した。道路に転がると、そこに自転車が走ってくる。叫ぶまもなく、恐ろしい衝撃が彼を……。

気がつくと、彼は病院にいた。見ると足に包帯が巻かれていて、痛みに思わず苦悶の声を上げる。「目を覚ましたようだな」 声のする方を向くと孤舟先生が立っている。

「どうして!」 彼は思わず叫んだ。「なぜこんなことを」

先生はさもおかしげに笑うと、不意に恐ろしい目つきで見つめた。「これだけで終わらないぞ。これから、病、事故、裏切り、盗難……ありとあらゆる災難が君に襲いかかるだろう!」

「ただ就職の相談をしただけなのに! 災難なんて!」

「そうなのだ! 私は今、災難を作り上げて、君を人工的に厄年にしたのだ! さあ、これからは堂々と厄年の40代として就職活動を始めたまえ!」

「そうでしたか!」と彼の顔が明るくなった。「でしたら、いっそのこと20代の厄年のほうが引く手あまたなのでは?」

孤舟先生、悲しげにつぶやいていわく「それでは君の体は持つまい……言っておくが、これでも前厄なのだよ!」