苦い文学

カルチャークラブの戦争はんたーい!

拘置所にいる友人から手紙が送られてきた。以下に書き写す。

……僕が犯した罪についてはもう聞いているだろうか。弁護士に説明しても理解してもらえなかったから、こんな手紙を送ります。

Colour by Numbers って、カルチャークラブのアルバム、1983 年に出たんだけど、僕が聞いたのは中学生の頃だった。誰もが衝撃を受けたよね。僕もそうだったんだけど、そのとき僕は自分が他の人と違うということに気がついたんだ。

アルバムのジャケットを覚えているかな。カラフルなジャケットの右半分にボーイ・ジョージの顔があってね。僕はこのジャケットを見たとき、それまで味わったことのない感情を感じた。というのも、ボーイ・ジョージの隣にこんなふうにカタカナが書かれていたから。



僕がショックを受けたのはこれなんだ。この「ー」なんだ。僕はなんだか横書きの「ー」を縦にしたくなった。思い切ってジャケットを横に回してみた。すると「ー」は「|」になったけど、なんと「ボ」と「イ」は横になってしまったんだ! 僕は怖くなってレコードを押入れの奥にしまって、それきり忘れてしまった。

ところが、それから何十年も経った後に、外を歩いていると、不意に「カーマは気まぐれ」が耳に飛び込んできたんだ。そのとき、あの思い出が蘇ってきた。あのときよりももっともっと強烈に。

そのときたまたま、外国人観光客が目に入った。自撮り棒を片手に動画を撮りながら歩いている。横にしたり縦にしたり、横、縦、横、縦……僕はもう見境をなくして、その自撮り棒を奪い取って、真っ二つに折った……どうしようもなかったんだ。

弁護士が言うには、僕は裁判にかけられるそうだ。法廷では「Do You Really Want To Hurt Me」を歌うつもりでいるよ。