ギリシア神話のミダス王はその手に触れたものを黄金に変え、チェッカーズは触れるものみな傷つけたと、言い伝えは語るが、この現代では、Apple Music が同じことをかねてから行なっているようだ。つまり、触れるものみなカタカナに変えてしまうのだ。
私たち Apple Music ユーザーがずいぶん昔から困っているのは、このサービスが海外の有名ミュージシャンやバンドを、例えば The Rolling Stones は「ザ・ローリング・ストーンズ」というように勝手にカタカナにしてしまうことだ(しかも、いつのまに中グロまで出現しているのだ)。
いや、もちろん、日本だから、カタカナに変えてもいいのだ。だが、それならばなぜ「DREAMS COME TRUE」は「ドリームズ・カム・トゥルー」とならないのだろうか? Ado は「アド」に? 「いや、これは日本でそういう名前だからいいのだ」という人もいるかもしれない。ならばイギリスでは The Rolling Stones は The Rolling Stones なのだから、日本でも The Rolling Stones であるべきではないだろうか?
しかも、私たちのこうした疑念にもかかわらず、この恐ろしき Apple Music の手は日々カタカナ化を推し進めているのだ。去年は原語表記であったミュージシャンもいつの間にかカタカナになり、今、アルファベットのバンドも、来月にはカタカナとなっているかもしれない。
こうして私たちの洋楽ライブラリはカタカナに侵食されていく。そのうちすべてのローマ字が放逐されないとは、誰が言えようか?