苦い文学

フキダシのドットたち・・・

私はネットで、友人とメッセージのやり取りを続けていた。

私たちはK-popについて話していたのだが、あるアイドルの新曲の話題になったとき、私はこう言った。

「あれ、一回聴いてもういいかなって。最近の傾向かもしれないけどガチャガチャしててメロディがないんだよな」

こう送信した後、私は彼がこのアイドルの大ファンだったことを思い出した。

すぐに取りつくろう言葉を送ろうとしたが、彼のほうで入力中のマークが出現するのが見えた。フキダシの中で小さいドットの列が薄くなったり濃くなったりしている。

私は彼の返事を待った。あんがい同意見かもしれない、と思ったからだったが、彼はずっと入力中のままだった。

私はしばらく待っていたが、灰色のドットのアニメーションは変わらなかった。なにを書いているのだろうか。私はメッセージを送ろうかと考えたが、そのとき家人に呼ばれて携帯を閉じた。

一時間ほどして、再び携帯を開くと、私は彼の入力中のステイタスが変化していないのに驚いた。もしかしたら、と私は思った。入力の途中で放置しているのかもしれない。

それから私はこのことをすっかり忘れてしまった。二日ばかりのちにふと思い出して、アプリを開くと、彼はまだ入力中なのだった。

やはり彼は怒っていたのだ。それで、とんでもない長編の反論を執筆中なのだ。確かにそんなことをしでかしかねない男だったが、私はこの途方もない空想を打ち消した。

不可解な思いに囚われながら、私は、左から右へ動いているように見えるその小さなドットを見つめていた。

すると、私は奇妙なことに気がついた。それらのドットのアニメーションは、いつもの入力中のものとはどこか違うのだ。

私は目を凝らして、そのドットたちを見つめた。私の老眼の目が欺いたのであってほしいと思うが、それらはドットに似た文字であり、ひたすら罵りの言葉を繰り返していた。