【一流ジャーナリストが教える! 記事の書き方】
ジャーナリストにとってもっとも大事なことは何でしょうか。取材、資料集め、記事の執筆……、これらはどれも大切なのですが、何かとあえて問われれば、私は記事の最後の一文だと思います。
なぜなら、そこにこそ、ジャーナリストがいちばんいいたいことが詰まっているからです。私たち記者の魂がそこに込められているのです。
だから、むしろ、その最後の一文をどう書くか、ということに向けて私たちは仕事をしています。その最後の一文が、読者の心を動かすのですから、当然のことです。どういうことかご理解いただくために、すこし実際の例を見てみましょう。
たとえば、『笑ってバンザイ』というテレビ番組の司会者が脱税をしたとします。とすると、一流の記者ならば、すぐに最後の一文が浮かびます。
「どうやら、今回ばかりは『笑ってバンザイ』とはいかなかったようだ。」
そして、記者はその一文に向けて綿密な取材にとりかかるのです。
また、「白い心」というヒット曲のある歌手に不法薬物の疑惑が出たら、もう、最後の文は「大ヒット曲『白い心』が黒い心にならないよう気をつけてほしいものだ。」で決まりです。
こういうことを言うと、中にはこうおっしゃる人がいます。もし、「私がある記事のタイトルを見て、最後の一文が思い浮かんだとしたら、記者の言いたいことがわかったも同然なので、その記事はもう読む必要はないのでは」と。
まさにその通りです。そうした方の心にはもう「記者魂」が宿っているに決まっているので、記事を読む必要はいっさいありません。