今後、さまざまな職業が AI や、AI を搭載したロボットに入れ替わっていくことだろう。飛行機で乗客のサービスなどを行う客室乗務員もそのひとつだ。
もちろん、客室乗務員には、緊急避難や防犯など乗客の安全に関わる大事な仕事があり、これは人間でなくてはならない。しかし、リフレッシュ用のティッシュを配ったり、「フィッシュ・オア・チキン?」と尋ねたり、使用済みのヘッドフォンを回収して大きな袋に入れたりする仕事は、現在の配膳ロボットでも十分可能であろう。
また、客室乗務員にしてみても、エコノミークラスのやかまし屋でわからず屋の貧しい人々の世話から解放され、ファーストクラス・ビジネスクラスの上品でリッチな乗客だけに専念できるので、むしろサービスの向上につながる。航空会社にとっても人件費の節約になるのはもちろんだ。
客室乗務員を盗撮する行為もしばしば問題になるが、配膳ロボットに置き換われば、そのような迷惑行為も、ぐんと減るのではないかと思われる。もっとも、ロボットにスカートを履かせた場合は、話は別だが。
こうした利点を考えると、近い将来、飛行機内の通路を、電子音楽を鳴らしながら配膳ロボットがせわしなく行き来する時代が来るのは確実だろう。
とはいえ、問題がひとつある。
それは、機内アナウンスのとき、配膳ロボットの動きがピタリと止まってしまうことだ。熱々のコーヒーを注いでいるときに、長いアナウンスが始まったらと思うと、我々はおちおち食後の一杯も頼めないのだ。