苦い文学

あなたが何者であろうとあなたは自由だ

まったく、現代ほど自分が何者であるか鋭く問われている時代はないのではないか?

たとえば「外国人お断り」ときた。つまりその店に入る者は自分が外国人ではないことを証明しなくてはならないのだ。「なにか証明するものを見せればいいではないか」 そういう人もいるだろう。だが、なぜそんな個人情報を見せなくてはならないのだろうか。

いやこんなものはまだ序の口に過ぎない。いまロシアで、アメリカで、中国で起きていることをみろ。自分が同性愛者でないことを宣言しないと、命すら危ないのだ。

自分が何者であろうと関係ないではないか。そしてなぜそのことを人前で明かさなくてはならないのか。自分が自分をどう自認しようと勝手だし、それを差し出す必要なんかないのだ。

自分が何者であろうと自由だ。そしてそれを言う言わないも自由だ。私たちの心は自由なのだ!

そうだ、チェックなど入れるものか!

……とおじさんが、画面に突然あらわれた「私はロボットではありません」に憤慨していた。