宇宙はビッグバンによって始まり、それ以来、私たちの宇宙の膨張が始まった。
このまま宇宙が膨張し続けると、宇宙のあらゆる物質が永遠に拡散することになる。そして、その果てにあるのは、すべてが切り離された孤独で冷たい無の世界だ。なんと寂しいことだろうか。そのような宇宙では、隣の人に話しかけるのにもほぼ永遠のときが必要なのだ。
しかし、これとは逆の宇宙を想定する理論も存在する。ある条件のもとで、宇宙は膨張から収縮に転ずる可能性もあるのだという。この場合、ある時点で、全宇宙の物質が一点に集中することになる。このような全宇宙の収縮をビッグクランチと呼ぶ。もしもこの宇宙が一点にクランチするのであれば、地球から月に行くのも簡単だろうし、行くときも、みな肩を組んで仲良く行くことであろう。
私は断然、ビッグクランチ派だ。もちろん和気あいあいとしたビッグクランチのほうが好みということもある。だが、天文学者として、また宇宙理論家としても、私は、宇宙が膨張するどころか、すでに収縮を始めていると断言できる。
そう断言できる根拠については、ここでは述べない。専門家以外にはわからないからだ。ただ、もしあなたが「コンプライアンスだの人権だの、うるさい奴らばかりがのさばって、窮屈な世の中になった」と感じているのならば、その直感は正しい、とだけ言っておこう。