フジテレビのバラエティ社長が記者会見で、日本弁護士連合会のガイドラインに基づかない第三者の弁護士を中心とした調査委員会を立ち上げる方針を示したとき、記者たちは激怒した。
「それで真相が明らかになるのか!」
「被害者が納得するか?」
「日弁連に失礼だ!」
激しい批判に慌てたフジテレビは、今日、改めて緊急記者会見を開き、日弁連のガイドラインに則った独立した第三者委員会の設置を明言することにした。
記者会見の会場も前回のようなちっちゃな用具部屋ではない。千葉の奥地の広大な土砂採取場だ。ここなら何百人だって入れるというわけ。オールドメディアも、ニューメディアも、オールドタイプも、ニュータイプも記者という記者がどっと押しかけた。
寒風吹き荒ぶなか、席もなく立たされる記者たちの前に司会が現れ、記者会見の開始を告げる。バラエティ社長の登場だ。なんと、その後には、百人ほどの人々がゾロゾロ歩いてくる。誰もが赤か白のジャージを着ているのが奇妙だ。記者たちはなにごとかといぶかりはじめる。
ここで、バラエティ社長、片手に持った拡声器を口に当てて声をかぎりに叫ぶ!
「面白くなければ第三者委員会じゃない! 紅白対抗! 弁護士だらけの大運動会!」
たちまち水着姿の美女たちが四方から駆け寄ってきて、黄色い声援をあげる!
司会「さあ、始まりました! 全国の面白弁護士たちが第三者委員会をかけて競い合うスポーツと法曹の笑いの祭典! いったい誰に第三者委員会の栄冠が輝くのか楽しみですねえ」
解説者「ええ、競技だけでなく、思わぬ守秘事項のポロリも見逃せませんよ!」
司会「そうそう! なお、勝者には副賞として『過払金の依頼者1年分』が贈呈されます。弁護士たちも熱く燃えております! さあ、選手宣誓です!」
ジャージ姿にゼッケンと弁護士バッジの選手が中央に立つ! 「私たち弁護士は! 日弁連のガイドラインにのっとり! 正々堂々と……!!!」