英語は「スル」的言語で、日本語は「ナル」的言語なのだという。
どういうことかというと、英語は「主語が何かをする」という表現が多用されるのに対して、日本語は「〜になる」という形で状況が生じる・成立することを述べる表現が多用されるからだという。
具体的な例を挙げると、例えば「二人の関係は人々の間で噂になった」を英訳すると「People started to gossip about their relationship.」となる。日本語のほうは「噂されるという状況」が成立したことを述べているが、同じことを英語では「People」を主語において「人々が噂する」としているのである(もっとも、他にもいろいろな訳し方はあるかもしれないが)。
これは日本語話者と英語話者の事態の捉え方の違いに関係していて、日本語話者は「ナル」的な見方を好み、英語話者は「スル」的な見方がしっくりくるということらしい。
これは本当かどうかは、私は言語学者ではないのでわからないが、少なくとも「料金が発生する」という言い方がよく使われるのはわかるような気がする。
というのも「私はあなたに料金を請求します」とか「あなたは料金を払ってください」とか、「スル」的にいわれると「払うもんか」という気になるが、「料金が発生しました」と「ナル」的にいわれると、「あそう、発生したの」とついつい財布を開いてしまうのだ。
だから、日本人を動かすにはなんでも「ナル」的にするのがいちばんいいのではないだろうか。「消費税が上がりますよ〜」はもちろんのこと「9条がなくなりますよ〜」ならば「9条をなくすな!」と反対していた人も、たちまち改憲バンザイだ。
「戦争になりました」になるのも時間の問題だ。