苦い文学

地震発生確率ゼロ世界

今月 15 日、政府の地震調査委員会は、南海トラフ巨大地震の今後 30 年以内の発生確率について、80 %に引き上げた。

これは「いつ地震が起きても不思議ではない」ことだという。なんとも恐ろしいかぎりだ。

この発生確率 80 %とはどういうことだろうか。私は独自に確率を研究したのだが、それによると、これは 100 の並行世界があるとすると、そのうちの 80 の世界で地震が起きるということだ。とすると、私たちのこの世界が地震の起きない 20 の世界のひとつであれば、地震は起きないということになる。

では、どうすればその 20 %に加わることができるのだろうか。ここで少し考えてほしい。もしサイコロを振って、1の目が出てほしいときに1が、あるいは6の目が出てほしいときに6が出た人がいたら、私たちはその人をどう呼ぶだろうか。もちろん幸運な人である。

つまりこういうことだ。もしも私たち日本人が十分に幸運であるならば、この世界を地震の起きる 80 %の世界ではなく、地震の起きない 20 %の世界に移行させることができるのだ。

では、幸運であるためにはどうしたらよいだろうか。おまじないやお守りといった個人的な努力には限りがある。日本政府が率先して運気アップ政策を推し進める必要があろう。新たに 7777 円札を発行するのも有効だ。

しかし、もっとも大事なのは幸運を浪費しないことだ。私たちはつまらないことで運を使わないように我慢すべきだ。幸運節約社会こそ地震のない世界への近道なのだ。

北朝鮮のミサイルが運悪く日本の原発に落下したり、不幸な無差別テロが頻発したり、不運な事故で無辜の人々が犠牲になったり、皇位継承者がゼロになったり、ロシア・中国との戦争に駆り出されて命を散らしたりなどという非運の連続も、幸運にも地震の起きなかった日本のためだと思えば、どうということもなかろう。