苦い文学

元気ちがい

日本を元気に……

日本全国に元気を届ける……

元気……元気……元気……

いつから私たちはその言葉を耳にし始めたのだろうか。ずっと昔すぎてもうわからない。中には生まれる前から、元気……元気……産声もきっと元気がなかったのだ……

いったいいつ日本は元気になるのだろうか。こんなに元気元気と言われ続けているのに……

これから10年先、20年先、100年後までも、元気……元気……元気……と言い続けるつもりなのだろうか。だが、そんなにもして元気にならないというのならば、この日本はもう元気にはならないのではないだろうか。死んだ人間が生き返りでもするような……

はっ、それとも、本当は元気なのでは? そうだ、決して空元気などではない。元気だ。ただ、この国のことだ……国が認めないのだ……国産じゃなきゃって……

「出る元気は打たれる」というわけ……

いや、もしかしたら、元気判定師みたいなのがいるのかも。そいつがそんじょそこらの元気じゃウンと言わないのだ。縦に振らないのだ、首を……

これは別の元気です……元気ちがいです、と。

いつか、元気ちがいのこの国から「日本を元気に」と言う元気がなくなるまで……