カタログギフトとは、みなさんご存知のとおり、結婚・内祝いなどの引き出物として、送られてくるカタログだ。受け取った人は、カタログに掲載されたさまざまなギフトから、好きなものを選び、商品番号をハガキに記して投函する。すると、しばらくしてその商品が届く、そんなものだ。
私はこのカタログギフトでよいものを選んだ記憶がない。親戚の結婚式で選んだパスタ鍋も、知人の結婚式でもらった、取っ手で回転させる式の野菜水切り器も、結局捨ててしまった。大きくて邪魔だったし、なくても問題がなかったのだ。カタログにはどうやら、判断力を曇らせ、不要なものを選ばせる魔力があるらしい。
先日も、このカタログギフトが送られてきて、パラパラと眺めていたのだが、次第にワクワクしてきた。気づけばハガキに覚えのない商品番号を書こうとしているではないか。ハッと我に返って番号を調べると、「桐のかつおぶし削り器」。またもカタログの魔術が、家庭でもっとも不要なものをまんまと選ばせようとしていたのだ。
あぶないあぶない。そう思いながら、なおもカタログをめくっていると、私は驚くべきものに出くわした。こ、こんなものが……思わず声が出た。
商品番号 69800-5683
「最高級カタログギフトのカタログ」
《見るたびに夢が広がるときめきのカタログ》
高級感のある装丁に、なめらかな上質な紙を使用。日常生活や、通勤、旅行などさまざまなシーンで、心おどる商品に溢れたカタログをお楽しみください。
(*カタログのみ。商品のご注文はできません)
この究極のギフトがいつ届くかと、首を長くして待つ毎日だ。