苦い文学

AI タレント

AI が作り上げた AI タレントが、企業の広告や CM に起用され始めている。AI タレントならば、費用も安いし、スケジュールの調整も不要。撮影だっていらない。それに何よりありがたいのは、スキャンダルや不祥事というリスクがないことだ。

「今後、 AI タレント の活躍の場は、CM ばかりでなく、テレビにも広がって行くでしょうね」と語るのはテレビ業界関係者だ。その第一の理由は、やはり不祥事対策。生身のタレントは、同意のないものに目がないのだそうだ。

だが、AI タレントは、生身のタレントの存在感や個性、知名度の点ではるかに劣る。AI タレントが「育って」いけば、いずれは解決される問題かもしれないが、それなりの時間がかかりそうだ。

そこで、現在進められているのは、すでに鬼籍に入ったタレントたちを AI で蘇らせて、冠番組を持たせるというプラン。関係者によれば「結局、死んだタレントがいちばん安全なんですよ」ということだ。近いうち、『エンタツ・アチャコの行列のできる法律相談所』、『エノケン・ロッパのCDTV』『徹子の部屋』などが放送される予定とか。

もっとも、それでも存命の人気タレントにはかなわない、という意見もある。「もういっそのこと松ちゃんと中居くんを殺して、AI にしちゃおう、だなんて話でテレビ業界はもちきりですよ」と関係者は語っている。